中央区・波除稲荷神社

波を鎮めた不思議な光体がご神体となっている

波除稲荷神社は、中央区築地にある神社で、築地市場や銀座に近い位置にあります。
この神社の成り立ちはとても興味深いものです。
その昔、築地周辺は水に覆われていて、常に波をかぶっている状態でした。

その後、海が引いたことや干拓などが進んで、住宅や倉庫などが建てられるようになりましたが、高波の被害などが絶えないという状況でした。
江戸の大火の1つに数えられる、明暦の大火の後に、この地を干拓しさらに広げるという大工事が行われましたが、大波のせいで工事が頓挫してしまいました。

そうしたなか、ある日波打ち際に、不思議な光を放つ光体が見つかり、人々が舟を出してそれを拾い、ご神体として奉るようになりました。
すると不思議なことに、波がすっと止み、工事を順調に進めることができるようになったのです。

こうした経緯から、神社の名前に「波除」という言葉が付けられるようになったのです。
それ以来、この地を守る神様として人々の信仰を集め、現在に至ります。

築地や銀座の人々の参詣が絶えない神社

波除稲荷神社のすぐそばには、広大な築地市場があります。
海の安全を守る神様としても信仰を集めているため、この市場で働く人が祈願に参ることも多く、常に人通りがあります。
また、新しくお店を開いたり、仕事始めのタイミングなどで、会社の人全員でこちらの神社に参詣に来る様子も見られ、いかにこのあたりの人々にとって重要かが見て取れます。

また、多くの飲食店が建ち並ぶ銀座と築地を結ぶところにあるということもあって、銀座で商売をする人、銀座に住む人もこの神社に親しみ、お参りをしています。
特に、この波除稲荷神社では、商売の神様である倉稲魂命を奉っていますので、商売繁盛の祈願をする人が多くいます。

魚介類にまつわるものが多い神社

前述の通り、築地魚市場に近いということで、市場で働く人の参拝が多い神社ですが、境内には魚介類にまつわるものが多いのが特徴的で、見ていて面白いですね。

たとえば、境内には蛤石なるものが置かれています。
二枚の大きな石が重ねられていて、さながら蛤のような形をしています。
蛤は、貝殻の組み合わせが2つとないということから、夫婦やカップルの絆の象徴とされています。
こうしたことから、縁結びにのご利益があるとされて、恋愛成就や夫婦円満の祈願をする人も多く見られます。

また、活魚塚というものもあります。
魚市場では、魚の命をもらって生活をしているという思いを持って働いている人ばかりですので、魚の霊を静め、感謝の念を表すためにこの塚が建てられています。
それぞれの神社で独自色があって面白いのが、神社の魅力と言えますが、この波除稲荷神社もとてもユニークで、興味深いですね。